『斬魔大聖デモンベイン』私註 3
・原則として、作品名は『』、引用部分は《》で示した。
・H.P.ラヴクラフトの作品は、特に注記のない場合は創元推理文庫『ラヴクラフト全集』内のタイトルを記してある。ただしThe Dunwich Horrorは『ダニッチの怪』ではなく『ダンウィッチの怪』とした。
目 次
・第9話 QUO VADIS※
※ライカルート
・デモムービー〜第8話(別ファイル)
・参考文献(別ファイル)
- さーいえっさーッッ!/さー、のおぉ、さぁぁぁっ! Sir, Yes Sir!/Sir, No,Sir!
- 映画『フルメタル・ジャケット』では、海兵隊新兵訓練所の訓練生は教官にまず「口でクソたれる前と後に『サー』と言」うことを叩き込まれる。
- 『これは罪が赦されるよう、多くの人の為に流す私の血、契約の血である』
- マタイ伝26章26-30節。最後の晩餐でイエスがワインを指してこう述べる。カトリックでは聖体の秘蹟に関連付けられていて、聖体拝領のミサを行い、パンとともに葡萄酒を飲む。ウェスパシアヌスはそれを茶化して勿体をつけた。
- 獣の王冠
- ウェスパシアヌスを指す。アンチクロスの七人は、黙示録の獣の、十の角に十の王冠を戴く七つの頭に擬せられている。
- ソーテルヌの一級品
- フランスの高級ワイン(貴腐ワイン)の一種を。ソーテルヌは産地名。黄金色で極甘口のワイン。余談だが、ウェスパシアヌスは甘党らしく、甘い菓子についての言及がのちにある。
- 羊飼いのチビ
- クトゥルー神話の邪神ハスターは、A.ビアス『羊飼いのハイータ』から持ち込まれた、元来は羊飼いの神(らしい)。ビアスの同作は現在では入手困難。
- 『怠け者の欲望はその身を殺す。その手が働くことを拒むからだ』
- 旧約聖書「箴言」21章25節。
- 抉り込むように働くべし働くべし働くべしっ!
- 高森朝雄・ちばてつや『あしたのジョー』、左ジャブの指南より。「ひじを左わきの下からはなさぬ心がまえで、やや内角をねらいえぐりこむように打つべし。」。ジョーは「打つべし!」と繰り返しながら左ジャブの練習を重ねる。
- 人生は歩き回る影法師、哀れな役者…… Life's but a walking shadow, a poor player.
- シェイクスピア『マクベス』第五幕第五場。
- 不幸な時代の重荷は我々が背負わねばならぬ…… The weight of this sad time we must obey.
- シェイクスピア『リア王』第五幕第三場。
- 本当の戦いはこれからだー。おー!」
そのまま打ち切りになって、先生の次回作にご期待して欲しかった。
- 『少年ジャンプ』誌の連載漫画は読者アンケートの結果次第で打ち切りとなる。ストーリーを消化しきれずに打ち切られた漫画の最終回は「本当の戦いはこれからだ」という場面で終わることがままある(黒岩よしひろに多い)。編集部は「先生の次回作にご期待ください」といったコメントを付けるのが通例。
- もしかして……こいつが喋らせているのか?
- 以下、カラス、買い物袋を提げた主婦、鉄柱に備え付けられたスピーカー、ショーウインドウに並べられているテレビ、路上に停められた自動車のカーステレオ、マンホールの蓋の奥、「暴君」が次々と色々な物体に自分のかわりに喋らせるシーンの典拠はおそらく、若干趣向は異なるものの、古橋秀之『ブライトライツ・ホーリーランド』だろう。
- 達人級 Adept class
- 「アデプト」はオカルトにおいては、魔術の達人や錬金術の秘儀を極めた者などを指す。ここでは「クラス」と付くように、魔術師の位階のひとつを指すものと思われる。「黄金の夜明け」団では「小達人(Adeptus Minor)」の位階にあたる者を単にアデプトと呼ぶこともある。位階制度を持った魔術結社としては「黄金の夜明け」団が代表格で、この作品における「位階」(ブラックロッジの魔術師だけでなく九郎についてもいわれるのだが)も、「黄金の夜明け」団のそれを参考にかんがえられているのかもしれない。「小達人」はノリとしては青銅聖闘士くらいか。参考:「イニシエーションと位階制」(オカルトの部屋)
- 兄弟 Frater
- 「フラター」は「兄弟、同朋」。英brotherにあたる? 西洋の魔術結社において、ともに魔術を学ぶ同朋として、男性は互いにこのように呼び合うことが多いようだ。
- 兵隊靴
- ローマ帝国三代皇帝ガイウスはカリグラと通称される。《ドイツの陣中で生まれたガイウスは、幼い時から大きな兵隊靴をはかされていたので、兵たちはかれをカリグラという愛称で呼んでいた》(I.モンタネッリ『ローマの歴史』中公文庫)
- 大達人 Adeptus Major
- おそらくは「黄金の夜明け」団の位階名から。上記「達人級」の項を参考。ノリとしては白銀聖闘士ぐらいか。